ボウズ丸儲け

世の中には、面白い話が多い。カット690円と書いてある床屋らしき店に入った。もう2時過ぎたから980円だよ、と中年のおばさんが無愛想に言ってきた。ハイと返事をした。どうやら、様子が変だ。美容院らしい。

染めなどをしている客もいるので、時間がかかりそうだ。嫌な予感。それでも、客を移して、わしの番になった。ボウズにしてと頼んだら、『何だそれなら、いつでも490円だよ』と言う。

安いと大袈裟に叫んだら、『そうでしょ、この間、野球部の中学生が試合だからと言って、八人いっぺんに来たのよ。次から次へと八人斬りよ』と自慢気に語る。

チャップリンなら、おもしろ可笑しく動きをつけるんだろうな、などと考えると可笑しくて仕方なかった。しかも、野球だけに九人にすれば、もっと笑えたのに。490円で笑い話しまで付いた美容院、儲かった気がした。

映画の町

夏休みになると、小さな小さな田舎町に、朝から小学生、中学生、高校生が、おしゃれをしてグループでやって来る。わが町には、メジャーなシネコンが二つある。近隣の人にとっては、映画の街として認識されている。小さな小さな町の光り輝く財産だ。

映画だけでなく、映像関係は、未来のこの町の貴重な収入源になる。しかし、市議も役所も、町の長所にきづかない。視察旅行とイベントで予算を使う事で頭がいっばいだ。

しかも、巨大な商業施設を誘致している。交通渋滞、ゴミ問題、騒音問題、犯罪の増加など、のんびり田舎暮らししているわしには、辛いことばり。50年後、悲劇的な結末が、待っているとも知らずに浮かれている。映画のように廃墟と化す。

ショートフィルム専門の映画館や自主映画専門の飲み屋など、様々なことができそうだけど。

子供達に映画という文化を残してあげたい。映画が好きで、おしゃれをして来てくれる子供達のためにも。